京都RIDE 2017〜走編〜
9年前、ある短編映画を見て強く思ったのだ。
自転車で風をきって走りたい、と。
やってみなきゃ、自分自身で感じなきゃわからないと思って生きていた20代。
風をきって走る自転車に乗りたくて、外に漏れそうなぐらいドキドキと胸を高鳴らせて、私はステッカーが沢山貼られた青い扉を開けた。
そして自転車屋 Circles と出会った。
今でも鮮明に覚えている。
納車日に自転車のペダルを踏み、頬にあたる風が今までと全然違うという事を。
耳もとで楽しそうに騒ぐ風の声をはじめて聞いたし、どこまでも行けると思った。
9年前のあの日から私の中で決まったのだ。
行きたい場所は自転車で行く、
会いたいヒトには自転車で会いに行く、と。
晴れの日はもちろん。
雨の日だって、お気に入りの合羽を身につけて音楽フェスへ。
夏祭りには、もちろん浴衣でライド
彼に会いたくて、頬を赤く染めて、津まで踏んで行ったこともある。
自転車を踏めば踏むほど、不思議なもので、もっともっと遠くへ行きたくなる。
その先の景色を身体中で感じたいのだ。
それは、1人よりも仲間と一緒に。
そして始まった、自分自身への挑戦。
仲間との挑戦。
100km越え、京都ライド。
毎年ゴールデンウィークに京都を仲間と共に自転車で目指した。長距離な上に峠越えがあり、決して楽ではないけれど、達成感と充実感が中毒症状をおこし、楽しくて、4年間続いた。
そして、京都の町には、自転車で向かう私たちを「あんたらも、ものずきやねぇ」と笑顔で温かく迎えてくれるヒト達がいた。
最後に行った京都ライドは、4年前。
この時、お腹には、もうすぐ4歳になる息子を授かっていた。(この日はさすがに見送りのみw)
子供を授かり、生活スタイルが少し変わり、長距離ライドはお休みしていた。
しかし、母になっても好奇心旺盛な性格は変えられない。
自転車がある暮らしの中で生きて行きたいし、まだまだ、峠を越えて見て感じたい事がある。
それは、日々苦楽を共にしている仲間と一緒に。
4年前みたいに京都まで完全自走とはいかなかった。
けれど、ライド中に見た朝焼け、風に遊ばれて全然前に進まなかった八風街道で見た鮮やかな梅の花、4kmもある石榑トンネルを抜けて見た、キラキラと輝く雪が残った美しい路面など、心に焼きついた瞬間は数知れない。
一瞬を見逃さず、切り取ってくれたカメラマンの彼女と一緒にライドできたのもとても嬉しかった。
私にとって自転車は、
ヒトとヒトとを繋げるもの。
今回の京都ライドで新ためて感じたのだ。
PFMもそんな自転車のようなお店で在りたいと。
patissier kaz
ride photo by 2komat